蔦屋雑文堂

蔦屋雑文堂、ベトナム思い出し笑い・・其の参

まだまだ続くベトナム物語。。

アジア圏に来たならば、行かねばなるまいは市場である。今回は市場物語。時間の都合もあって、今回は2つの大きな市場と小さな旧市場しか見られなんだ。

 まずベトナム市場処女が、こわごわと行ったのはニャチャンのダム市場。ホテルから市場まで8kmくらいあるのだが、我々は「旅は体力なり」とか言って、自転車を借りていくことにした。ところが「OK、OK」と出てきた自転車は、サビサビのヨレヨレ。ブレーキもあんまりきかないし、まぁ10年くらい使いこなしてお別れしました、というような廃棄場に転がっている自転車を想像すれば、ハズレないだろう。おまけにサドルが高い。外国人用(欧米人)に高さが調節してあるので、私のようなちびっこが乗ると足がつかない。「てへへ、短足ですわ〜」とウケ狙いで言うと「ほんまやな」と真に受けられた。ちくしょう。サドルを下げようにも、錆びついて移動しない。彼らはヒマだから、うんせうんせとサドル調節をしている我等の周りに「なんだなんだ」といつの間にか10人ぐらい集まって、「にゃーにゃー、わはは」といいながら一緒に見学している。だから、仕事をしなさいっていうのに。キミたちホテルマンでしょう。閑話休題。


 というようないわく付きの自転車に乗って、炎天下の中、市場へ到着。球場のような外観の市場。「暑いよ〜ビール〜」といいながら、自転車を降りて駐輪場を探していると、「カモだわ」というような顔をしておねえさんがこちらへ来る。「ヘイヘイヘイ」といいながら、自転車をこっちへ留めろという。「どうせ、カモだもん」と思いながらも、まぁいいか、と従って留めると「冷たいものでも飲まない?ビールは2000ドン(=約20円)よ」という。「ほんまやな〜」と念を押すと「本当よ」という。で、なんだか細い路地裏へ連れていかれて、市場の人々がたむろするような食堂へ連れていかれる。まぁ、自分たちでは入れないような場所だからいいか〜なんて思いながら従う。 お風呂で座る風呂椅子が並ぶ市場の裏の屋台街だ。ほれほれビールと言われて、ありがとうと飲んでいると、同行者に「あんたすらっとしてキレイね。きっとアオザイが似合うわよ」ときた。暑さで朦朧としているから、この時は「いやー、ほめられてるやん、きゃー」なんて喜んでいた。「アオザイ作った?」「いいや」「私たちアオザイ縫えるよ。3時間で仕上げてあげる。4万5000ドン。ホテルまで届けるよ」

 きたきたきた。カモですから。「高い」「いくらなら買うの?」「いらない」「あらー似合うのに。私たちが縫うのよ。」「いらない」「いくらなら買う?」「いらない」「あらー、もったいない。ベトナムみやげに人気よ。私たちが縫ってあげる」「いらん」「いくらなら…」エンドレスで、じわじわとせまってくる。「うん」というまでネバる。これ営業活動の基本なり。勉強にはなるけれど、アオザイはいりまへんがな。

 営業活動に優れたベトナム人女性だが、こっちも金銭感覚の優れた関西人じゃ。負けない。「えーい、いらんちゅうたらいらんねん!」と、ビール代を払おうとしたら「一本7000ドン」と言う。さっき2000ドンいうたやん!というと、「あれはジュースのことよ」「ビールもいうたやん」「いいえ」。ものの20分で3倍強の値段に跳ね上がる。いいんです。カモだから。

 結局、その後もずっとピッタリ離れない。「生地見ましょうよ」と手をひっぱっていく。うーん、たいした人々だ、と感心しながらも、別に見るあてもないので連行される。要は買わなきゃいいのだ。「これは?」「嫌い」「これは?」「色が嫌い」「これは」「嫌い」。この応酬である。向こうも段々あきらめてきて「じゃぁ帰りましょう」ときた。なんでそう決める?と思ったが、まぁいいか。「果物、買う」と言って果物屋へ。リュウガンと不明の果物を1テづつ購入。「みかんは?」とかいろいろ薦める。「いらない」とぼんやり口調で間抜けに答えると「スキあり!」というような目をして、どんどん袋につめだす。「いらーんちゅうてるやろー」と強気で言わなければ、もれなく餌食になります。


 ここで、このひっつき虫的営業行為についての状況を把握したので、サイゴンのベンタイン市場では結構マイペースにやれた。ベンタイン市場は、とってもフォトジェニックな市場です。生きたアヒル、ニワトリ、ウズラ、ウサギなどなどが檻に入っていて、おばちゃん達が「これ」と選ぶと、その場でバッサリやってくれる。うら若い14〜15歳くらいの娘たちが、ちゅーっと血を抜いて、その横でおばちゃんが毛抜き作業を。あぁ、みなぎる生命力。興奮してカメラをばしゃばしゃやっていると、きたきた。カモ連行部隊が。こんどは12〜13歳くらいの小娘と少年。「何買うの?」「別に」「コーヒーは?」今度はコーヒー屋だ。まぁ、いいかとここでも連行される。子供だからこっちも気楽に「大阪ではごめんねという時、てへへ〜といいながら頭をかく」とか、ニセ情報を垂れ流す。

 相場よりも高いので「コーヒーはあとで買うわ〜」と言って逃げようとすると、「じゃぁ、私たちが案内してあげる」といって、有無をいわさず大名行列開始。さすがサイゴンだけあって、小娘も日本人には慣れていてカタコトの日本語を話す。「ナニホシイ?」食器が見たいというと連れていってくれる。「コレヤスイヨ」「高い」「ヤスイヨ〜」「値切ってくれたら買う」「イクラニ?」「これだけ」「ヒドイヨ〜」「ここでキミ値切る、成功する、私、あなたの店で言い値で買う」というと、素直に交渉してくれる。こっちも大分肝が座っているから、もういいたい放題だ。交渉決裂すると「じゃぁ、キミともサヨナラ」と言う。そういうと、再び交渉開始。だけど、ある店で「私ノーマネー、裸足でしょ」ときたのには、一本やられたって感じです。何もいえないではないか。「わしらもノーマネー」というと、なんだか親しそうにしてくれたが。営業の基本として、憐憫を誘うのはルール違反だぜ。最終的には、どこの店でもだいたい言い値の半額レベルまで小娘に交渉してもらった。それでもぼられているかもしれないけれど、楽しんだから、それはそれでいいかな、と。もちろん約束通りコーヒーは言い値で購入したよ。

 要するに、「ぼられる、盗られる、だまされる」と「られる」を恐れるから、どうも腰が引けるのだ。「大事なもんさえ盗まれねばどっちでもよい」という考え方で、実際はやらないけれど、スキあらば、こっちが一本とったる、という強気になれば昼間や夕方に町中をウロウロする分には、なんら恐れることはない(はずだ)。日本人はつい弱気で、オドオドするから、つまんなくなる。だいたいが土壌的に、「我が道ゆくのに何が悪い」という所らしいから、こっちもその気になればよいのです。郷に入っては郷に従え。人の顔みてりゃ、どこまで悪気かだいたいわかる。もちろん初日はびびりまくっていたけれど、あんまり日本とかけ離れた環境下でもまれていると、段々開き直ってそういう結論が蔦屋雑文堂なりに出てくるわけです。集団スリにも囲まれたけれど、結局、向かってくる時に「とったる」という顔で来ていたから、そういう最低限の用心を自分なりにやっていると大丈夫なんではないかね、と思うのだが…。上手にかばんのファスナーを開けて、財布を抜こうとしていたから、「うりゃー!」とはたいて逃げてきた。これも、初日に散々「カバンチュウイ」と言われていたから、被害がなくて済んだんだろうし、まぁ人の忠告はありがたく受けておくもんだと思いました。


VZK03612@niftyserve.or.jp

苦情・戯れ言・なんでもお寄せ下さい!

ホームへ   蔦屋雑文堂ホームへ