蔦屋雑文堂

ドロップアウトな気分?「沖縄にて・・」


おひさしぶり。まいどです。時々お手紙いたくようになり、蔦屋うれしゅうございます。へい。しかし、お返事できんくてすいません。しかしその時間がなかったのです。時間は作ればできる、という説がありますが、ほとんど毎日睡眠2〜3時間が続くと、お仕事だけで体が精一杯になってしまいます。(これを甘いという人はどーぞいってくんさい。わしには限界だ)いやぁ、3月はばたばたばたばたしておりまいた。長いようで短かったというのが3月ざんす。おかげご覧の通り言語がおかしくなっちまいました。春ですしね。

で、今日は沖縄の話。わたし、沖縄で10年ほど前に、しばらくぶらぶらぶらついていた経験があるんですわ。いわゆるドロップアウトちゅうヤツです。それまで真面目に糞がつくほどの人間だったんすがね。初めて飛行機旅行して、上空から沖縄の赤土を見た途端、ぶちっっと回線が切れてしまい、正真正銘の青い海を見て、違う回線が動きだしたのです。で、そのままそれまでのしがらみを一切合切投げ捨てて、ドロップアーウト!実はそれまで真面目なクラシック音楽学生だったのさ。えへへ。

 

まぁ、今の私があるのも、空が青いのもみんな沖縄のせいなのさ、というヤツです。当時のお話は、もしあなたにお会いすることがあれば、お話してしんぜよう。 ま、そんなこんなの沖縄で、思い入れも人一倍強かった。とはいえ、今や貧乏所帯の蔦屋には、沖縄まで大枚はたいて仕事休んでいくほどの余裕がござんせん。不思議なもんで仕事という名目があれば、それも行けちゃうんだがな。あぁ行きたい行きたいで幾歳よ。しかし念ずれば思いは通ず。怖いくらいのグッドタイミングが重なって、わたし再び沖縄へ行くことになったです。生憎曇天なれども、空港を降り立った時のスイート&ウェットな沖縄の香りが、頭をぶちきりそうになる。そうよ沖縄の匂いってのは、甘くてちょっとばかし湿っているのだ。で、柔らかい空気がぼよーんと親しげに体を包み込むんだよ。これを嗅ぐと「あ、もう帰らなくってもいいかー」というドロップアウトな気分になっちまう。危険なり。ま、感激の再会もそこそこに、今回は仕事じゃ。

山原(やんばるとよむ)と名護の辺りをぐわーっと回って最北端まで車をぶっ飛ばすのがお仕事。 現地のカメラマンに出会って、宜野湾をまわった時、ばーんと視界一面に海が来た。折しもその時のBGMはトレーシー・チャップマン。いやぁ。もう星飛雄馬の涙。心でね、滝の如く涙が流れた。一人だったらきっと泣いていた。風景との再会でこんなに胸が締めつけられる思いは初めてだ。それほどに沖縄というのは、私の中で大きかった。生まれ故郷でもないんだよ。でも、それほどに、懐かしかった。なぜか。それはね。 仕事を終えた夜、「うりずん」という有名な店へ行った。琉球料理の旨い店だ。もうすっかり腹へり状態だったので、ゴーヤーチャンプルーやラフテーやなんやらかんやらと食いまくった後。ちょうどオーナーとその仲間が宴会を階下でやっていたので、輪の中に入れてもらった。フラメンコのインストラクターや、今年米寿のおばぁちゃんやらが「がはは」と笑い飛ばしながら飲んでいる。さて宴もたけなわの頃、出てきました沖縄三線。

三線とは、まぁ沖縄生まれの三味線でして、「島唄」とかでその音階はお馴染みのはず。確かソとレがない音階なんです。なんともエイジアンな曲調です。これが酒の酔いとともに体に染み渡り、なんと気持ちのよいことか。後で知ったが、その時三線を奏でてくれた陽気なおっさんは、実は県内屈指の三線の名手であったとのこと。そんな演奏で、わたし、米寿のおばぁ(沖縄ではおばあちゃんをこう呼ぶね)とフラメンコのねぇね(沖縄ではおねぇちゃんをこう呼ぶね)とダンシングしてしまった。居酒屋のど真ん中で。もう踊りまくったよ。膝がポイントさー、と泡盛で毎日洗顔するから、肌もツヤツヤさ(本当にそう。赤ちゃんみたいにツルツルなのよ、これが)、というおばぁに教えてもらった。ハリウッド映画なんかでは、良く主人公が感極まって、酒場で踊りだすというシーンがあるが、「日本じゃないよなー、こんなシーン」と思ってしまう。がが!実際、沖縄では民謡をBGMにこういう現象が起きてしまう。

曲のジャンルこそ違えども、多分、それはあり得ることなんだ、と初めて実感した。都会の酒場じゃこうはいかないところに、日本の現代文化の嘘臭さが見えるようだ。 で、締めくくりには名手に民謡を歌ってもらった。夕方になると天から使いがやってくるという唄だが、まるで海の風のように優しくて、涙が出てきそうになった。昔来た時 も、沖縄は優しかった。だからこそ、私は宜野湾で泣いたのだ。ちょっとばかしの滞在なので、もしかすると本当の姿を見ていないかもしれない。そういう人もいるかもしれない。でも、私にとっては優しい郷だったのだ。好きになって良かった。と思うのは何も異性だけに限らない。きっと誰もが、そんな土地を見つけることができるはず。旅をしなされ。存分に、旅を。そこに、大切な宝が眠っているはずだ。

情報は、雑誌にも電波にも氾濫しているけれど、決してそれだけに頼らぬよう。五感でしっかり感じ取ること、文字通りの体験は、たとえひとつだけでも、どんな情報よりもすばらしいのです。いかがかな?今回は興奮してえらく長くなりました。すんません。


VZK03612@niftyserve.or.jp

苦情・戯れ言・なんでもお寄せ下さい!

ホームへ   蔦屋雑文堂ホームへ