
湯原町長 池田輝美 〜 ニコラ・ボドホンさん

町長:日本が注目されるのは、とても光栄です。どうですか日本には良い所がありましたか?
ニコラ:自然がとても綺麗だと思います。私にとって日本は、東京のイメージがとても強かったんですけど、九州や四国を旅することによって、東京のような所ばかりでないと分かりました。
町長:日本とイギリスでは生活様式がまったく違うと思うんですが、何か困ったことはないですか。
ニコラ:最初はやはり大変でした。特に私は、菜食主義者でもあるし、いろんな点で自分の考え方を変えていかねばなりませんでした。でもそうすることによって今までの考え方を改めたり、新しい考え方を取り入れる事ができたので、結果的には良かったです。アメリカ人の友達は、よく日本人のマナーや生活面でのことをしっくりこないと言うのですが、イギリス人にとってはいろいろな面で類似点があると思います。たとえば話し方とか、相手を傷つけないようにすることとか・・・。
町長:なるほど、日本の生活になれるまでいろいろ苦労をしたんでしょうね。
ニコラ:最初は自国と違うこと自体がエキサイティングで闘志を燃やされたりしていたので実際にカルチャーショックを受けるまで少し時間が掛かりましたね。
町長:エキサイティングでしたか。(笑い)仕事面でも大変なことが多いでしょう。ニコラさんには今、湯原中学校にも来ていただいているんですが、生徒達の印象は、どうですか?みんなかわいいでしょう。
ニコラ:はい。みんな元気で生き生きしていますよ。
町長:そうでしょう。イギリス人の生徒達とはやっぱり違ったりするものですか。
ニコラ:うーん。いろいろありますけど、躾面においてイギリスの生徒は質が落ちてきていますね。教師側にも責任があると思うんですけど。宿題など自分のことは自分でこなすという責任感の面でも日本の子供はすごいと思います。
町長:そうですか、ニコラさんは、イギリスでも教師の経験があるんですか。
ニコラ:はい。日本に来る前の一年間、イギリスで教えていたんです。同じ教師の友達も言うんですけど、イギリスでは何かするときになかなか生徒が集まらなかったりとか、宿題の集まりが悪かったりで、困りましたね。少しでも教師の経験が長かったらそんなに苦労しなかったと思うんですけど・・・。
町長:私も教師を28年間やりましたけど、そう言う点では最初の頃は、ニコラさんと同じ思いをしましたねぇ。でもだんだん子供のやろうとする事が分かってくるとこちらから先に手を打てるようになるから、大丈夫ですよ。
ニコラ:だと良いんですけど、まだ挙止の経験が浅いから難しいですね。でも”モラル”の低下というのも影響していると思います。
町長:”モラル”の低下ですか。ニコラさんもご存じと思いますが、日本では今小中学生の間でも「いじめ」と言うものがあるんですよ。
ニコラ:イギリスでも大きな問題になっています。いじめられている子も、それを公示すると余計いじめられるんじゃないか、と思ってなかなか話してくれない。教師側としてもどう対処して良いか分からないんです。先生に相談しにくいなら、他のカウンセラー的な人に相談するというプログラムもあるんですけど、まだこれといったいい対策はないです。
町長:日本もまったく一緒なんですよ。同じようにいろいろ対策を考えているんですけど、なかなか問題が表に出て来ないから断ち切ることが出来ない。
ニコラ:イギリスでも同じです。真剣に取り組んでいかなければならない問題だと思います。
町長:ところで話は変わるんですが、現代では働く女性が多くなって結婚しない人も増えてきているんですが、イギリスではどうですか。
ニコラ:まず家庭を持つ前にキャリアをスタートさせて、そして家庭を持った後もそのキャリアに戻って行く、という感じですね。
町長:なるほど。今、日本では少子可現象がありまして一家族平均1.43人と非常に少ないんです。湯原町にしても同じで、したがって人工も減る一方なんですよね。
ニコラ:イギリスでは、平均2.2人位ですね。そしてお年寄りのが増えてきています。
町長:高齢化も重要な問題ですよ。私もこれからの湯原町を、若い人の活気があふれ、高齢者がいきいきと生活できる町にしていきたいと考えているんです。
ニコラ:若い人のパワーをお年寄りにも与えてあげれば、町の雰囲気も変わると思います。町民の雰囲気ってそのまま町のイメージに反映されますよね。
町長:その通りですよ。「湯原を変えたい」という町民の強い願いを今後の町づくりに欠かせない財産として”元気な湯原”を目指して頑張ります。ところでニコラさん、イギリスには温泉はありますか?
ニコラ:温泉はないですけど、飲むお湯なら出てきます。
町長:この湯原町は、温泉の町といわれているんですが、はじめて湯原に来ていただいたときの印象はどうでしたか。
ニコラ:イギリスの浜辺にあるような小さな町を思い出させてくれました。夏に訪れるような・・・。自分自身をエンジョイ、リラックスできるような雰囲気があります。
町長:そうですか。この町は温泉を一つの核として、今後ももっと大勢のお客様に来ていただこうと努力しているのですが・・・
ニコラ:私の友人も湯原には大勢、訪れています。たくさん良いホテルがあるんですけど、サービスはシンプルでいいから、出来ればもっと安く泊まれれば良いと思います。
町長:鋭いですねぇ。(笑い)私もそう思っているんですが、経営の立場もあるのでなかなか難しいのですけどね。
ニコラ:安いホテルをつくれば、また違った層のお客さんを招くことが出来ると思います。目的を持って湯原に来る人ばかりでなく、たまたま湯原に来て”泊まっていこうか”という人もいるから・・・。
町長:分かりました、これから一生懸命改善いたします!ところでどのくらい安ければ・・?
ニコラ:うーん。5千円くらい?(笑い)
町長:安くて良いホテルももちろんですが、他に湯原町にこんなものがあれば・・と、若い女性の目で見て何かありますか。
ニコラ:どこかと姉妹提携を結んで、スポーツ面や教育面などいろんな面で交流の輪を広げるのは如何でしょうか?
町長:なるほど、良いところに気がつきましたねぇ。今、日本の農業政策の中で、お米があまりいらないという状況があり、お米をつくらなくなった土地が現在たくさんあります。その土地を流用して観光客の方にも来ていただいて自分で土地を耕して野菜や果物をつくってもらう、というのも考えているんですが、どうでしょう?
ニコラ:いいんじゃないでしょうか。滅多にない経験なので、皆さん喜ばれると思います。それにここには、クラフトでコマをつくったりとか、織物をする方も沢山いらっしゃるので、アトラクションとしてクラフトセンターをつくったりしても良いのでは?あと、自然を十分生かしてハイキングコースを設けるのも良いと思います。
町長:そうなんですよ。湯原町にはたくさん自然がありますから。ダム湖など上手な活用法などもいろいろと考えているので、ニコラさんが今度来られる時には、この湯原町も変わっているように頑張りますから。
ニコラ:湯原が今以上に、元気な町になっていることを私も期待しています。町長さん、頑張って下さい。
町長:もちろんですよ。今、下湯原に新しい温泉が出ているんですが、その場所を核にして、高齢者も若い人も一緒に楽しめるような機能を備えた新しい拠点をつくりたいと思っているんです。
ニコラ:それはとてもいいアイデアですね。温泉だけでなく、湯原には、特別な雰囲気がありますから、やり方次第でもっともっと発展するように思います。
町長:ほう、特別な雰囲気ですか?どんな雰囲気なんでしょうか。
ニコラ:うーん。なかなか言葉では表せないんですけど・・・例えば近代的な建物があっても雰囲気の良くない所は沢山ありますし、その点、湯原には”暖かみ”があります。これが一番近い言葉ですね。
町長:暖かみですか。今日は、暑かったですけどね。(笑い)
ニコラ:(笑い)ほんと、でも、「やり方」といってもどこから手をつければ良いのかが難しい所なんですけどね。
町長:そうなんですよ。私もつい先日まで高校の教師という行政とは、なんの関係もない立場にいたので、今、大変な思いをしている訳なんですけど、役場の職員もいい人ばかりなので早くこの場になれてニコラさんのおっしゃったアイデアを参考に、湯原を元気な町にしたいですね。それでは最後にもう一つ、この湯原町にもニコラさんのような外国のお客さんが今後、増えると思うんですけど、もっと気をつけてほしいようなことはないですか?
ニコラ:大規模な変化は、必要ないと思いますけど、やはり安く泊まれる場所やレストラン、バーなどがもっとあれば良いんじゃないでしょうか。ただこの湯原町の雰囲気が壊れないような、そういう変化であってほしいです。
町長:わかりました。今日は、わざわざお越し頂き、なかなか難しいお話を気持ちよく話していただいて、とても参考になりました。
ニコラ:これといえるものがなくて、もう少し助けになれば良かったんですけど・・。
町長:いやいや、地元にいると気づかないことが多いんです。その点でもニコラさんの意見は、我々にとって貴重なアドバイスです。それに今日は、浴衣姿でフォトグラフまで一緒に撮っていただいて。(笑い)本当に今日は、ありがとうございました。
ニコラ:楽しかったです。(笑い)サンキュー。
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